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その昔、ニコンFは一般人にはとても手に入れにくいカメラだったらしい。他のカメラの倍以上もする価格もさることながら、流通数自体も少なかったのか、注文してから手元に来るまで1年以上かかることもあるという感じだったようだ。そんなわけでわが家にFが来たのはF2よりあとである。
機能の劣るカメラをわざわざあとから手に入れるあたり、オヤジの世代にとってFはすっかり神格化された存在らしい。ペンタプリズム部分や軍艦部(変な呼び方)の造形なんか直線がぴしっとしていいがF2になると曲線が入っていて今ひとつ気に入らないようだ。
しかし現時点からの評価しかできないワタシとしてはFの神格化というのはぜんぜんピンと来ない。開発時期の違いからくる機能の差はともかくとして、操作性あるいは機能が現れた形としての「デザイン」という部分でF2のほうがはるかに上に思えるからだ。
ニコンのカメラ作りは、以前の機種をなるだけ引き継いでネガティブな部分を潰していくようなやり方が目立つように思うが、Fの場合もレンジファインダーのSシリーズからキャリーオーバーした部分が多くて、シャッターボタンの位置や裏ぶたの着脱方法などは改善しようという意思が感じられない。一方ではシャッター幕にチタンを導入するほど頑張っておきながら、次の世代をリードするカメラにふさわしい操作系をなぜFの段階で追求しなかったのか、現在の視点からは不思議でしょうがない。
日本の工業界もまだそれほど体力がなく、そこへ新開発のシステムカメラを投入するということでリスクを避けたのだろうが、それでも一眼レフではかなり後発ではなかったか?
結局操作性はF2で大きく改善されるわけだが、それはFから改良されたのではなく、本来そうあるべき姿にようやくたどりついただけでなのではと思える。よってワタシにとってFとは「歴史的な評価はともかく、写真機としては特に興味の湧かない存在」である。
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