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Nikon FM3A登場

 

 2001年2月5日、ニコンから新たなMF一眼レフカメラが発表された。AFカメラ全盛の中で新設計のマニュアルフォーカス機が登場するというのも珍しいことだが、「FE2」の後継機が登場するという噂は以前からあり、登場自体はさほど驚くべきことでもない。

 しかしこの新機種、ざっとみたところではかなりおもしろい存在といえそうだ。その特徴をニュースリリースから拾ってみると、

  1. FM/FE系おなじみのデザインとレイアウト
  2. 1/4000secのシャッター速度と1/250secのシンクロ速度
  3. ニコン初のハイブリッドシャッター搭載
  4. ボディ側での補正が可能なTTL自動調光
  5. 指針式のファインダー内シャッター速度表示
  6. DXフィルム対応による自動感度設定
  7. モータードライブMD-12を使用可能

などがあげられる。

 この中で2.はFE2を引き継いだもので、6.は現代のカメラとしてはごくあたり前の装備だろう。4は確か、FM系ボディに対するユーザーの要望として最も強かったものでこれも順当な採用といえる。

 凄いと思えるのは3.と5.そして7.だ。まずハイブリッドシャッター。要するに現在主流の電子制御シャッターと、機械的に動かすシャッターが組み合わされている。「FE3」の噂が流れた時点で、おそらくユーザーの多くは「次は電子制御シャッター」と思ったのではないだろうか。かくいう私もそのひとりで、だからこそ電池の消耗を気にして星景写真用にF3を買ったのである。

 ところが蓋を明けてみると出てきたのは、ハイブリッド。しかも絞り優先オートのときは電子制御でマニュアル露出になると機械制御になる。つまり全速度で機械シャッターが使える。これはえらいことである。
 ハイブリッドというと真っ先に思いつくのがペンタックスのLXでこいつは高速側を機械式、低速側を電子制御しているそうである。電池を抜けば機械式で使えるという話を聞くが、天体撮影のような超長時間露光にはめんどうそうだ。いや、本格的に天体撮影に使うのならそれでもいいのだが、ときどき夜出歩いて夜景を撮るような使い方には・・・、というレベルの話ではある。

 そこへいくとFM3Aのハイブリッドは完璧。これなら長時間露光でもバッテリーの心配はまったく不要だし、絞り優先オートに切り替えれば電子制御シャッターだから、newFM2の弱点だった中間速が使えないという問題も解決。天体撮影用とふだんの撮影用を兼ねる35mmカメラとして、もはやこれ以上のものは考えられまい。いまどきこんな手のかかったものが出てこようとはまったく驚きで、ニコンの力の入れようには頭を下げるしかない。

 もうひとつ手がかかっていそうなのが5.だ。中間速の問題と並んでnewFM2への不満として取り上げられることが多いのが、LED式の露出計表示。適正/オーバー/アンダーの表示しかなく、どれくらいオーバー/アンダーなのかわからないのである。
 そこで思い出されるのがFE系のファインダー表示。シャッター速度スケールの上を針がひょんと動いていくので、どの程度のずれなのか感覚的にわかるのだが、この方式はやはり機械動作であるため、コストの面からも、もはや登場しないだろうと皆諦めていたのである。ところがFM3Aではこの指針式メーターまでも採用してしまった。すでに頭は床に届かんばかりである。

 そしてもうひとつがMD-12。このモータードライブユニットも、ずいぶん長いこと作られている。うちのは8年ぐらい前にいちど調子が悪くなりメンテに出したことがあるが、そのときですら「まだ生産していますから修理できますよ」と聞いて驚いたものだ。それがいまだに現役で、しかも新製品に使えるというこの恐ろしさ、もとい素晴らしさ。もはや頭は床にめりこみそうだ。

 こう考えるとまったくもってありがたい機械ではあるのだが、ふだんニコンにはマウントを変えてまでも世間が悶絶する凄いヤツを一発ぶちかましてほしいと願っている自分としてはどこかにやはりひっかかるものがあるのも否めない。

 MD-12が使えるということは機構的なレイアウトは変っておらず、デザインもプレスリリースの写真を見る範囲では正統的な後継。ということはAEで露出補正をさっと行えるようなモダンなユーザーインターフェイスは望めまい。

 たしかにこの時期にミドルレンジのMF機を新設計で出すのは立派なことだが、内容的には他の機種を整理するための方便と見えなくもない。もっと次世代のMF機を引っ張るような進歩的な提案があってもよかったのではと考えるのは、もちろん欲張りすぎというものなのだろうが。

2001.2.6

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