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AF機育ちにもわかるNikon F3講座

   Nikon F3はフィルムの巻き上げとピント合わせが手動でシャッター機構が電子制御という過渡的な時期の製品であり、現在の眼からは使い方がわかりにくい部分もある。そこで、これからF3を使ってみようという人のために、ポイントとなりそうなところをまとめてみた。
   
 

電源を入れる

 実は電源を入れる方法はない。いや電流は常に流れっぱなしなので切る方法がないといったほうが正解か? 巻き上げレバー/シャッターレリーズボタンと同軸上回転スイッチがあってこれがONになっていないとシャッターが切れない。このスイッチ、正しくは「レリーズロックレバー」といい、あくまでシャッターが不用意に切れないようにするためのロック機構で、電源のON/OFFとは関係ないのだ。
 とはいえこのレリーズロックレバーがONの位置にないと測光機構が使えないし、バッテリーチェックもできないので、これが事実上の電源スイッチといってもいいだろう。
 軍艦部を上から見てこのレバーが左斜め上の位置にあるときシャッターはロックされ、右に廻して真上の位置に来たとき撮影可能となる。ロックの位置の下は赤い丸があり、ONの位置へレバーを動かすことでこれが見えるようになる。ちなみに「ON位置」というのも用語としては正確ではないが、まぁイメージしやすいだろうということで使っている。

厳密な意味での電源スイッチはないが、シャッターが切れるのを防ぐレリーズロックレバーをONにすると測光が可能となる。赤い丸が見えていればOK。

 ところでなぜ電源が切れないかというと、急にシャッターを切った場合でも電子制御シャッターが正確に働くように常に微弱な電流を流しているのだそうだ(取り扱い説明書による)。
 だからカメラを長期間使わないときは、電池を抜いておいたほうがよろしい(これはどんな機械でもいっしょか)。

 使用可能な電池はSR44×2個/LR44×2個/CR-1/3N×1個のいずれか。

 ちなみにニコンFEなどは、巻き上げレバーの予備角をつかって電源スイッチとしている。すなわちレバーを引き出すと電源が入るので、撮影時の即応性という点ではF3に優ると思う。

 

   
 

フィルムの装填

 昨今のカメラはフィルムのリーダー部(俗にいう「ベロ」)をマークにあわせて裏ぶたを閉じると自動的にローディングしてくれるようだが、F3にそのような機能はなく、巻き取りスプール(巻き上げ軸)の溝にリーダーを挿し込んでやる必要がある。うまく挿し込めると、リーダー部のパーフォレーション(上下に並んだ穴)がスプールの溝にあるツメにひっかかる。あとは巻き上げレバーを動かすことでひとコマ分ずつ巻き取られる。

 このとき注意しなければならないのが、「逆巻き」にするということ。すなわちフィルムをそのまま巻き取るのでなく、内側へ巻き込んでいく。文章で説明するより実際に見てもらったほうが早い。

 裏ぶたを開けて巻き上げて見ればどのように動いているのか即座に理解できるので、いきなりフィルムを詰めたりせず、まず巻き上げのようすを見ておきたい。まぁ中古カメラになれている人なら当然シャッターのチェックはすぐにやるだろうから、すぐに気付く程度のことではある。

 なおこの「逆巻き」はF3に限らずニコン製MF一眼レフに共通する仕様のようだ。

 フィルムがちゃんとセットされていれば巻き上げと同時に、巻き戻しクランクが回転しする(巻き取られるフィルムが引き出されていくのだから当然)。したがってここを見ていれば、フィルムが正しく装填されたかどうかわかる。
 空写しが終わったら、クランクを引き出して巻き戻し方向に少し廻そう。もちろんフィルムが引っかかっているのでクランクが大きく回るわけではないが、これでフィルムのたるみが取れる。

 そういえば、「空写し」ってわかるのかな? 「そら」を写すんじゃないよ。「からうつし」。詳しくは次で。

   
 

カウンターゼロまでは測光不可

 F3に限らず手動巻き上げのカメラはフィルムを装填したあと、手作業で1コマめの位置まで動かす必要がある。なぜかというと、フィルムをセットしているとき、当然フィルムをパトローネから引き出しているためその部分は光が当たって感光している。もちろんその部分は撮影に使えない。
 そこで、裏ぶたを閉じて光が当たらなくなった状態でフィルムを巻き上げて、感光していない(パトローネの中に入っていた)ところまで引き出してから撮影に入る必要がある。昔のカメラはこれを手作業でやるわけだ。

 では感光していない部分までどうやって引き出すかというと、もちろんフィルムの巻き上げ機構を使う。ただしこの方法では望みの位置まで自動的に巻き上げることはできない。もともと巻き上げ機構は1コマ分巻き上げることしか考えられていないからしかたない。
 しかも、1コマ分巻き上げたらそのつどシャッターを切らなければならない。手動巻き上げカメラの場合、フィルムの巻き上げはシャッターを切る準備を兼ねていて(これをシャッターをチャージするなどという)、いちど巻き上げたらこんどはシャッターを切らないと次のコマへ巻き上げることはできないからだ。

 余談になるが、もっと大昔のカメラになるとフィルムの巻き上げとシャッターチャージは全く別の機構だった。1コマ巻き上げては別のレバーなどでシャッターをチャージし、撮影が終わったらまた巻き上げてチャージしてと繰り返さなければならない。巻き上げるだけでシャッターチャージもできる機構はソレ自体大発明だったわけだ。

 とにかくフィルムをセットしたら巻き上げてはシャッターを切るという手順を数回繰り返し、フィルムの感光していない部分ところまで引き出してやらなければならないので、 フィルムのカウンターが1枚めになる前にもシャッターを切っている。これが「空写し」だ。
 これをフィルムおよびフィルムカウンターの立場から見ると、
この空写しが終わったところがフィルムの1コマめとなる、というか1コマめというのはフィルムの感光している部分を避けて、未感光部分をパトローネから充分に引き出したところ、といったほうが正しい。
 そんなわけでフィルムの長さはこの空写しの分を見込んで基準の撮影枚数分より長くなっているから、フィルムをうまく装填すると36枚撮りのフィルムで39枚くらいは撮れる。

 と、延々とシツコク説明してきたわけだが、実はこの技F3ではあまり有効ではない。なぜかというと、フィルムカウンターが1になるまではシャッターは1/80秒で切れるようになっているからだ(註1)。しかも内蔵露出計も「シャッター速度80で動いてるよぉ」という表示だけで、測光値を表示してくれるわけではない。

 これを忘れていると、ちょっと慌てることがある。フィルムをセットして、カウンターがゼロの位置まで空写ししたとしよう。前述のとおりこの時点では測光機能が働いていないのだが、最初のうちはそれを忘れて「露出計が壊れた?」と勘違いしたりする。
 また、いつやってくるかわからないシャッターチャンスに備えて、あらかじめ測光しておくということができない。そこでとっさのチャンスに備えるためにはフィルムを装填したら必ずカウンターが1になるまで巻き上げておきたい。

 以上のようなワケで、フィルムを装填するたびに強制的に空写しさせられてしまうことになる。シャッター速度80にあわせて絞りを調節すればムリに撮れなくもないであろうが、どうせ内蔵露出計が使えないし、装填時に感光している範囲を確認できるわけでもないから、わざわざそんなところを使って撮るまでもないだろう。
 というわけで私の場合、せいぜい1コマ稼いで37枚撮るくらいしかできない。

註1
 F3の取り扱い説明書によると「シャッタースピードダイヤルをA(オート)および2000〜125にセットしてあれば、フィルムカウンターが1を示すまでは1/80秒のシャッタースピードできれます」となっている。ではダイヤルが60以下にセットされているときはどうなるのだろうか? これには明確な記述がないようだ。ちなみに空写しの時シャッター速度を125未満に設定すると、ファインダー内には「80」ではなくダイヤルの設定値が表示される。

   
  測光のクセを知る

 内蔵露出計を使うには、前述のレリーズロックレバーをONの位置にしてからシャッターレリーズボタンを半押しにする。この時巻き上げレバーは格納位置でもかまわない(さらに押し込めばシャッターも切れるので、バッグにつっ込むときなどは忘れずレリーズロックしておく)。 

 ひとによってはF3の測光にはクセがあるという意見もあるようだ。なぜかというと「中央重点測光」といいながらその中央重点の度合が強く、スポット測光に近い性格を持っているからだ。

 F3の標準ファインダースクリーン(K型)は、フォーカスを確認するために中央部にスプリットイメージ、その周りにマイクロプリズムを配した二重円になっている。そしてこの二重円の内側あたりを集中的に測光する。このため、マイクロプリズム部分の幅程度フレーミングを変えるだけで測光値が変化する(下のイメージ参照)。

 これが同じ中央重点測光でもFEではもっとあいまいで、目立って測光値が変わるにはマイクロプリズムのさらに外側にある黒い円の半径分ぐらいずらさなければならない(ファインダースクリーンの形式はF3とFEで違うだろうが基本的なレイアウトは同じだ)。

 そんなわけで、F3の場合ファインダーの中央付近に明暗差の大きいものがあるときは注意しないと思わぬ露出になってしまうかもしれない。主要被写体を画面の中心から外して日の丸構図を避けたい場合、中央重点測光だからといって漫然とそのまま測光しないように気をつけよう。

 なお個人的にはこのような性格を欠点とは思っていない。主要被写体の明るさを明確に知ることができるので、自分のイメージどおりの画創りをするにはむしろ好都合でたいへん使いやすい。
 撮影に時間をかけられる場合は画面上の2カ所程度を測光したうえでマニュアル露出で撮っているが、結果論的にはだいたい主要被写体を測っているいるだけでOKで、そういう意味ではやはり、中央に重点を置きつつ他の部分も加味しているようだ。
 いざとなったら絞り優先オート+AEロックという使い方もあるので、いったん主要被写体を中心に置いて測光し、その値をAEロックしてから改めてフレーミングを変えて撮ることもできる。ただしこの場合露出補正がやりにくいという欠点が顔を出すので、被写体の輝度が極端に異なる場合は注意が必要。

 それから、測光のクセをチェックする場合は、先の「フィルムカウンターが1になるまで測光できない」という点にも注意しよう。

   
 

標準スクリーンによるピント合わせ

 前述のようにF3には標準でK3型というフォーカシングスクリーンが使われている。このスクリーンはピント合わせのための構造から「スプリットマイクロ型」ともいい、中央のスプリットイメージを取り囲むようにマイクロプリズムがあり、さらにその外側全体がマット面というレイアウトになっている。ここではオートフォーカスの普及であまり見られなくなったスプリットイメージによるピント合わせについて紹介しよう。

 スプリットイメージとは、ピントのずれを直接眼で確認できるようにしたもので、ファインダースクリーンの中央にある円を上下ふたつの半円に分け、その半円に交差する線にピントが合っていればまっすぐに見え、ピントが合っていないと左右どちらかにずれて見える。このとき、被写体がどのように見えるかでピントが前後どちら側にどの程度ずれているかがわかる。

 なおマイクロプリズム部の場合、ピントがあっていれば被写体の像がくっきりと見え、合っていないときはモザイクパターンがかかったように見える。

 個人的には、マイクロプリズムを使ってピントを合わせることはほとんどない。特に花の近接撮影などで被写体が画面中央部にない場合は、ほとんどがマット面でピント合わせを行っている。

   
 

右へ廻せば暗くなる

 これはF3に限らずNikonのMF一眼レフに共通する操作体系だ。
 「右へ廻せば」というのは、露出に関る4つのダイヤル/リングを、実際にカメラを構えた状態で時計周りに廻すという意味。

1)絞りリング

 絞りの調節はレンズについたリングで行う。このリングは左いっぱいに廻すと絞り開放で、そこから右へ廻すと順に値が大きくなっていく。絞り値が大きくなるということは入ってくる光の量が減るので、すなわち「右へ廻すと暗くなる」。

2)シャッタースピードダイヤル

 シャッター速度の調節は軍艦部右上にあるダイヤルで行う。このダイヤルは右にいっぱいに廻したときAポジションつまり絞り優先オートとなる。オートを解除するにはダイヤル中央のボタンを押し込みながらダイヤルを廻す。オートを解除して任意の位置にセットすればそのシャッター速度でのマニュアル露出だ。

 シャッターダイヤルはAの隣が最高速の2000(1/2000秒)でそこから左へ廻すたびに1000→500→250となり、最長は8秒。さらにその先にB、T、Xと並ぶ。つまり1/2000秒〜8秒の間ではダイヤルを右に1クリック廻すたびにシャッター速度が1段ずつ速くなる。絞りが同じでシャッター速度が1段速くなれば露光量は半分になるので、つまり「右へ廻すと暗くなる」。

3)露出補正ダイヤル

 露出補正はシャッタースピードダイヤルとは反対の軍艦部左側にある指標と指針で指定する。設定範囲は+2段〜-2段で、1/3段ごとに設定できる。各ステップでロックがかかるのでロックボタンを押しながらダイヤルを廻して指針を指標に合わせる。
 この指針は巻き上げクランクと同軸のダイヤルで、(カメラを上から見て)左へ廻せば上へ動きプラス補正、逆に右へ廻せば指針は下へ動きマイナス補正になる。すなわち「右へ廻せば」アンダー方向への補正になり、できあがりの写真は「暗く」なる。

 

4)フィルム感度設定ダイヤル

 フィルム感度の設定ダイヤルも露出補正ダイヤルと同じく、巻き戻しクランクの基部にある(というより、感度設定機能を使って露出補正を行っている)。
 F3の場合露出補正ダイヤルが使いにくいのでそのかわりに感度設定ダイヤルで補正しているという話をときに聞くことがある(個人的な意見ではどっちにしろ使いにくいと思うが)。このとき感度設定ダイヤルの目盛ひとつが露出補正時の1/3段に相当する。
 感度を設定するにはダイヤル外周のリングを上へ引き上げながら廻す。感度はISO100を基準にするとダイヤルを時計廻りに廻すごとに125→160→200となり、逆に反時計廻りに廻せば80→64→50となる。

 感度100のフィルムを装填したとき、感度設定ダイヤルを200にセットしたとするとカメラはISO200のフィルムが入っているものと判断して測光を行うのに対し、実際のフィルムはその半分の感度しかないのでできあがった写真は光が足りない。すなわち右へ廻して高感度側に設定すると「暗くなる」。


 以上のように、ニコン製のMF一眼レフの各操作ダイヤルは、使用者から見て時計廻り(=右)へ廻すことで露光量が減るように統一されている。各社のカメラを使い分けるときは、これを覚えておくと役に立つかもしれない。
 ところで 「感度設定ダイヤルの場合カメラの真後ろから見るので、左右が逆になるのでは?」と思われるかもしれないが、胸の前あたりでカメラを持っていて斜め後方から見下ろしているところ(ファインダーを覗く前の態勢)をイメージするとわかりやすいはず。「使用者から見て」というのはつまりそういう意味だ。

   
 

擬似シャッタースピード優先あるいはとっさの露出補正ワザ

 どこかの掲示板でF3のAEロック機構について「シャッタースピードロックだからダメだ。EV値ロックだったらいいのに」という趣旨の意見を見かけたことがあるが、それはちょっとムリというものだろう。
 EV値ロックというのは絞りとシャッター速度の組み合わせで決まる露光量を固定するということになるが、それには絞りとシャッター速度の双方を制御しなければならない。

 ところがF3は古いカメラでAE機構には絞り優先オートしかない。つまりボディ側から制御できるのはシャッターだけ。レンズは機械的な連動で絞り値をボディへ伝えているが、逆にボディ側から絞り値を操作することはでない。すなわちロックできるのはシャッタースピードだけとなる。

 しかし、これを逆手にとった裏技的な使い方がある。AEロックしても絞りのほうは自由に動かせるわけだから、シャッター速度を固定しておいて絞りを調節する、いわば「シャッター速度優先マニュアル」撮影ができるのだ(ネーミングにかなりムリがあるな)。
 たとえば、AEで測光してみるとシャッター速度は手振れの限界ぎりぎり、でもプラス補正したい、というときシャッター速度はそのままに絞りで露出を変えられるというわけである。なお、F3の場合正しくは「AEロック」ではなく「メモリーロック」という。

 このやり方確かにマニュアル露出よりはちょっと手間が増えるが、AEで光の変化を追いかけながらとっさに露出補正したいというとき、カメラを構えたままでの操作が難しい露出補正ダイヤルよりはよほどてっとり早いといえよう。
 細かいことをいえば絞りをいじることによって被写界深度が変わってしまうが、もともとシャッター速度優先AE自体がそういうもの。よほど微妙な違いを気にしなければならない場合を除いては、かなり実用的ではないだろうか。

 もちろんこのときも「右へ廻せば暗くなる」と唱えれば、どっちへ廻して補正すればいいのかすぐに思い出せる。

   
 

バルブ、タイムそして緊急作動レバー

 シャッター速度ダイヤルにはB(バルブ)T(タイム)というポジションがあり、どちらも任意の間シャッターを開いておくのに使う。「任意の間」といっても短時間正確に開いておくのはカメラ任せにしたほうがいいので、実用上はシャッター速度設定の最長である8秒よりさらに長く開いておきたいときに使う。

 長時間露出といえばバルブ撮影はいまどきのカメラでもお馴染みだろうが、タイムってなに?という人も多いだろう。実は書いているワタシもなぜ同じような機能がふたつあるのかシラナイがたぶん昔のカメラの機構や制約に由来するのではないかと思う。ちなみにFEのシャッター速度ダイヤルにはTポジションはない。また、F2にもBポジションしかないが、それに加えてT-Lリングというのがあってバルブ撮影のときにはこのリングもT(タイム)側にセットしなければならないというちょっとややこしいことになっている。

 というわけで用途の点での違いはさっぱりわからないが操作方法の点でははっきりした差がある。それはシャッターを再び閉じるにはどうするかという点だ。バルブの場合「レリーズボタンを押している間シャッターが開いている」。言い換えるとレリーズボタンを放せばシャッターが閉じる。それに対し、タイムのほうはレリーズボタンはシャッターを開くためだけに使い、レリーズボタンから指を離してもシャッターが閉じることはない。ではどうやって閉じるかというとシャッター速度ダイヤルをT以外のポジションに廻すのだ。

 バルブ撮影の場合、露光している間ずーっとレリーズボタンを押しているのはしんどいので、ふつうはロック機構つきのレリーズケーブルを使い、露光を止めたかったらロックを解除すればレリーズボタンが元に戻ってシャッターも閉じる。それに対しタイムではずっと押している必要はないのでレリーズケーブルがなくても使える。と、ここまでは昔のカメラならたぶん一般的な話。

 さて、F3の場合さらに特別な事情がある。実はバルブとタイムではシャッターの制御方式が違い、バルブは電子制御、タイムは機械制御なのだ。したがって天体撮影のように本当に長時間露出したいときはタイムを使ったほうが電池の消耗を抑えられる。

 ところがタイムを使う場合でも、レリーズボタンを押してしまうとその間は測光回路が働くので、わずかながら電力を消費する。そこで登場するのが緊急作動レバーだ。もともとこの緊急作動レバーは、電池が切れた状態でも機械的にシャッターを切れるように用意されてているもので、約1/60秒でシャッターを切れる

 しかもこの緊急作動レバー、タイムモードと組み合わせてつかうこともできるのだ。すなわちシャッター速度ダイヤルをTにセットしてこの緊急作動レバーを使うと機械的にシャッターが開く。任意の時間露光したのちこんどはシャッター速度ダイヤルをTからほかのポジションに廻せば、機械的にシャッターを閉じることができる。ということは電力消費を最低限に抑えることができるわけで、天体撮影にはこの組み合わせで使うのがお薦めだ。

 

 ちなみにタイムモードで撮影中にシャッターを閉じる場合、シャッター速度ダイヤルを右へ廻すのがお薦めだ。逆に左へ廻すとフラッシュ撮影用のXになってしまうが、このポジションにはロックがかかるのでTに戻すのにひと手間増えることになる。とはいえ右へ廻す場合にも注意は必要だ。Tから1クリック右へ廻すとBでこちらにロックはない。ただし次のコマを撮影するときちゃんとTに戻さないとエラいことになる。
 なんとなれば、Bポジションで緊急作動レバーを動かすとシャッターは開きっぱなしになるのではなく、すぐに閉じてしまうので長時間露光にならないのだ。これが昼間ならTに戻していないのにすぐ気付くだろうが、長時間露光といえばもちろん夜間でついつい忘れがちなので要注意。TからBにしてシャッターを閉じたら即座にTに戻すように心がけたい。

2002.5.1

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