私のウチには大きなカエルのぬいぐるみがあります。
なーんで、そんなものがあるのか・・・それはお店で見た時
「目」が怖かったから。
いや、えらくリアルな目をしているんですよ。コイツが。
しかもぬいぐるみ自体かなりでかいし、足をだらりと伸ばした状態で
そうですねー・・・50センチはありましょうか。
千葉にあるダンナの実家に行った帰りに、
大型のおもちゃ専門店に寄ったんですよ。
ソイツはぬいぐるみのコーナーでこっちを見てたんです。
その、印象的に透き通る爬虫類の目で。
以前もその店に寄った時ソイツには驚かされたのですが、
その時はまさか自分が買うとは思ってもみませんでしたね。
今回は、目が離せなかったんです。
なんか、手に取ったらどうしても欲しくなっちゃったの。
だってそのカエル、背中側の首の付け根から手を入れて動かすと
口がぱくぱく動くんですよ。
そんな事してたら、もうハマっちゃいましたね。
あんまりにも怖くて。
ぜったい、こんなの子供に見せたらトラウマになるでしょーねー
って代物ですわ。
私的「変なモノ大好き基準」を大幅に越えていました。
で、千葉から我が家まで車に乗って一緒にカエル事になったんです。
ダンナは「なんでそんなモノ・・・」って顔してましたけどね。
若草色の毛足の短いモケモケした肌触りのカエル君。
なかなかの抱き心地です。
その背中側の手を入れる弛みの部分がどうも某作曲家に似ているので、
その人の名をもじって「小林 汗」と命名しました。
実にうっとうしい名前です。
現在その名前ではなかなか呼んでもらえません。
友人は「あー。あのぬいぐるみの名前って中村君だっけ?」
などと言う始末。
私も「カエル君」と呼んでしまうことの方が多くなってきました。
まぁ、ぬいぐるみの名前なんてそんなモノですがね。
帰りの車中、私は助手席に乗っていて手持ち無沙汰だったので、
小林君に手を突っ込んで口をぱくぱくさせたりしていました。
私はダンナに言いました。
「ねぇ、誰かこのカエルに気が付いて驚いてくれないかなぁ?」
わざと対向車に見えるように膝の上に置いて動かしたりするのだけれど、
だーーれも気が付いてくれません。
歩道を歩く子供達に見えるように窓の側に寄せてみたけど、
走っている車の中に注意を向ける人はいませんでした。
あきらめてちょっとウトウトしてから目が覚めた時、
やっぱり手持ち無沙汰だったので、カーステレオの曲に合わせて
調子よく小林君の口を ♪パークパーク・パクパクパク・・・♪♪と
マペット使いの様に強弱を付けて動かしました。
そうすると、それなりに表情がでるものです。
折しもその日私は黒の長袖のシャツを着ていたんですよ。
気分はまるで本物の人形使いです。
車が信号待ちで止まった時、隣から変な視線を感じました。
なにやらただならぬ雰囲気に私は前を向いたまま左目だけを
ちらりと左折車線に止まったその車両に向けました。
そこには何か見てはいけないモノを見てしまった・・・と
言うような表情を浮かべたおじさんが運転席からこっちを
ジーーーッと見ていました。
そう、私は黒の長袖の服を着ていたのです。
そのおじさんからは私の腕が見えなかったのでしょう。
小林君は未知の生命体となってしまった様です。
私は、もーーーーーーっっっ! ! 笑いたくってしょうがない気持ちを、
おじさんにバレ無い様に必死に抑えてました。
そして、ほっぺたをフルフルふるわせながら運転席のダンナに、
「ねーねー、隣のおじさんがこっち見てるよっっ!」
と、小声で言いました。
ダンナは私越しに隣の車両を覗き込みます。
私はだめ押しで空いてる方の左手で小林君の左手を動かして
「まいったなぁ・・・」と頭をかく仕草をさせました。
もちろん車のウィンドウのラインより下で手を動かしたので
隣のおじさんには私の手は見えなかったと思います。
運転席のダンナはその時のおじさんの表情をしっかり確認しました。
信号が変わり車を発進させた後、私が「おじさんどんな顔してた?」
ってダンナに聞いたら、ダンナはうひやうひゃ笑いながら
「あのおじさんさー、よっぽどびっくりしたんだろーねー、
両目をカッと見開いて、口をあんぐり開けてたよ。
しばらく忘れられないなぁー。あの表情!」と言いました。
あぁ・・・、イタズラは楽しいですねー。
おじさんは家に帰ってから家族になんて報告したんでしょーねー。
私もその家族に紛れ込んでおじさんの語る今日の出来事を
聞いてみたかったですよ。
きっと、「今日、車の中で大きなカエルが歌ってたんだよーーーっ!」って
言ってたんじゃないかな?
でも、あまりのショックで事故を起こしてなければいいんだけどね・・・・。(汗)
1999.5.12. とうやまみなえ
ちなみに↓彼が小林君です。

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